強烈な日差[夏の低血糖]

強烈な日差しの下で動いていたら、大量の発汗とともにめまいを感じ、意識がもうろうとしてきた……。熱中症を疑う人がほとんどだろうが、実は「低血糖」を起こしていたというケースがある。勘違いして対処が遅れると、最悪の場合、命を失うような事態を招きかねない。
糖尿病で、普段から血糖を下げるSU剤を飲んでいる40代のAさんは、家族揃ってバーベキューをするために河原に出かけた。炎天下であくせく機材や食材の準備をしていたら、大量の汗が噴き出し、動悸を感じて少しフラフラし始めた。
Aさんは軽い熱中症だろうと思い込み、冷たい水を飲んで日陰に移動。休んでいるうちに顔面が蒼白になり、そのまま意識を失ってしまった。
家族は慌てて救急車を呼び、担ぎ込まれた病院でAさんの血糖値は25mg/dlまで低下していることが判明。熱中症ではなく重症の低血糖だった。いつものようにSU剤を飲んでいたのに、バーベキューの準備で食事を取る時間が遅れたことがアダとなった。
Aさんは、病院でブドウ糖の点滴を受けて意識を回復。事なきを得たが、熱中症だと勘違いしたまま対処が遅れていたら、そのまま命を落としていてもおかしくない状態だった。
糖尿病専門医で「しんクリニック」院長の辛浩基氏は言う。
「低血糖になると、大量の発汗、動悸、倦怠感、めまい、意識混濁といった症状が表れます。これらは、熱中症のⅠ度からⅡ度で表れる症状と重なっている。低血糖の知識がそれほどない糖尿病の患者さんは、夏場にそうした症状が出ると勘違いしてしまうケースが少なくないのです。低血糖を起こしているのに、軽い熱中症だから、涼しいところで休めば回復するだろうとそのまま放置していると、深刻な状況になりかねません」